ふ化した5羽すくすく成長 宇治川の鵜飼 報告会

2017.06.10
 ウミウの人工ふ化に4年連続で成功している「宇治川の鵜飼」。今年は新たに5羽が生まれ、ヒナは元気にすくすく育っている。そんなヒナのこれまでを振り返る報告会が9日、宇治市観光センターで開かれた。

 今年は、4月7日から同27日までに20個の卵が産まれた。このうち11個が有精卵で、5個の卵から新たな命が誕生した。残り6個の卵は、ふ化に至らない中止卵となった。このなかの1個は、卵の中から鳴き声も聞こえ、殻をつつくハシウチの兆しもあったという。鵜匠の澤木万理子さんによると「生まれる寸前まで進行していたが、殻を割ることができず力尽きてしまった」という。

 産まれた卵は「ふ卵器」に入れて温める。「昨年はニワトリの卵に適した37・6度に設定したが、温かすぎたせいか、未成熟で生まれてくるヒナが多かった。今年は温度設定を少し下げ、37・1度にした」という。また、有精卵11個のうち、前半に産まれた卵のふ化率が高かった。今年は試験的に、ふ卵器の設定温度を段階的に下げていたといい「ほんの少しの温度差が、生死を分けたのかもしれない」と分析している。

 生まれたヒナは、死亡率が高い生後10日頃まで、今年新たに購入した鳥用保育器で飼育。人間用の保育器を経て、現在は特製ゲージで育てている。体も黒い羽毛で覆われ、足も座り起立できる状態になった。羽ばたく仕草も見られるという。エサは、アジをペースト状にしたものにビタミン剤などを添加し、注射器を使って与えているが、小魚や切り身のアジに切り替える時期にきているそうだ。

 昨年までは、ウッティーの親つがいが産んだ卵だけがふ化に成功していた。しかし今年は、別のつがいができ、産卵し、その卵から産まれたヒナも元気に育っている。澤木さんは「これまでは『たまたまウッティーの親つがいの卵だけがふ化していた』と思われていたが、別のつがいの卵がふ化したことは大きな進歩。〝人工ふ化2世〟誕生など、次に向けての希望になる」と展望をのぞかせた。また、ふ化した5羽について「昨年も5羽ふ化したが、すぐに3羽死んでしまった。私たち鵜匠や携わるスタッフたちの、知識や技術が上がったことが、致死率を下げ元気に育つことにつながっていると思う」と話していた。

 「宇治川の鵜飼」では現在、約15年前まで国内で行われていた、追い綱を使わない漁法「放ち鵜飼」を復活させようと計画している。今回生まれた5羽には今後、放ち鵜飼に向けたトレーニングを行っていく。計画では、2018年に試験的な放ち鵜飼を実施し、翌19年には本格的にスタートするとしている。今春完成した「新鵜小屋」は、小屋の中を仕切ることができ、従来からのウミウと分けて飼育を進めていくという。澤木さんは「人工ふ化で産まれたウミウは、人間との関係が良好。今年生まれた5羽も、元気に巣立ち、鵜飼のウとして頑張ってほしい」と期待を込めた。