あの人この人 マリンバ奏者 山本彩衣子(さいこ)さん

2017.06.13
 宇治市役所の一階ロビー。一台のマリンバを二人が奏でている。音が、まるで水に放たれたいくつもの絵の具のように、広がり、溶け合っていく。音色は柔らかくも深い。

 大勢の観客が魅了された。6月9日の、第297回市民交流ロビーコンサートだ。演奏は、マリンバ・パーカッションデュオPECHO(ペコー)。

 メンバーの一人、山本彩衣子さんは、宇治市生まれ。市内の小・中・高を経て、音大へ進んだ。現在、宇治市を拠点に関西一円で演奏活動をしている。

 マリンバを始めたのは8歳。「趣味として楽しく演奏していた」。中学ではソフトボール部。高校は誘われて吹奏楽部に入ったが、クラスは理系。演奏家になるつもりはなかった。

 音楽を勉強したいと強く思ったのは、高校一年の京都府アンサンブルコンテストだ。マリンバ四重奏で出場した。本選には漏れたが、アンサンブルの楽しさに気づき、「高いレベルでもっと音を重ねたい」と思った。懸命に勉強して音大へ進んだ。

 在学時から関西一円の小学校や幼稚園・病院などに呼ばれ、卒業後も同様に演奏活動を続けた。

 転機になったのは、「自分と勝負する時期」と決めていた20代での、第16回松方ホール音楽賞受賞だ。知名度が上がり、演奏依頼が増えた。そして自分の中で、その時の演奏体験が大きな一歩になった。

「ホールの中の音の響き、音の線が見えた。あったかい音、鋭い音……音の種類を増やしたいと思った」

 理想がある。手元で鳴るのではない、遠くまで届く響きだ。それも、受賞後の受賞者演奏で、これだ、とつかんだ。

 今、学校や幼稚園などで演奏する一方、ホールでのコンサートも行っている。今年は、6月18日・マグノリアホール(池田市)のサロンコンサート、10月28日・茨木新作音楽展(茨木市市民総合センター<クリエイトセンター>センターホール)への出演が決まっている。

 現代音楽に取り組んでいるが、誰もが知っている童謡を弾くのも好きだ。「日本の心を思う。身近な曲を届けることで、聴く人がマリンバを好きになってくれれば」

【写真=右が山本さん】