塔の川で水車発電に挑戦 エコット宇治

2017.08.30
 再生可能エネルギー普及・啓発に向け、宇治川(塔の川)で水車発電の公開実験を企画している宇治市内の環境グループが、市と共催した水車発電市民講座を通して水車の製作と発電実験(10月21日)の準備を進めている。宇治川中州の府立宇治公園の派川(塔の川)に直径1㍍の木製水車を設置し、LEDを点灯させる予定。宇治川の水車は宇治橋と共に宇治を代表する風景として江戸時代の絵画にも登場しており、関係者は「小水力発電による再生エネルギーの地産地消をアピールしたい」と話し、「水車のある風景」の復活に期待を寄せている。

 市民講座を企画したのは宇治市地球温暖化対策推進パートナーシップ会議(ecoット宇治)=居原田晃司会長=。

 eco(エコ)ット宇治は温暖化対策地域推進計画に定めた市の取り組みを市民・事業者・行政の協働で進めていくことを合言葉に8年前に設立。

 環境学習やエコライフ、みどりのまちづくり、森林保全、再生可能エネルギー――など各グループによる活動を通して市の推進計画の促進や身近に取り組める温暖化防止活動を全市的に普及・啓発していくことをめざしている。

 水車発電に向けた第1回の公開講座は26日に開かれ、50人が参加。京都市立伏見工業高校の足立善彦さんが用水路を活用した螺旋水車や浮動式螺旋水車、間伐材を再利用した羽根を使った螺旋水車などの取り組みを紹介した。

 足立さんは水車による田畑の獣除けの電気柵、ライトアップやハウス・外灯への利用など過疎化や耕作放棄が進む中山間地域の活性化に寄与する小水力発電の可能性にも言及。

 嵐山渡月橋で実施している一級河川での発電事例もふまえ「渡月橋が冠水した4年前の豪雨でも施設に被害はなかった。嵐山でできることが宇治にできないことはない」と述べ、宇治川での水車復活に期待を込めた。

 エコット宇治が計画する塔の川の水車は、橘橋下流の階段状になった1・5㍍の落差工を利用し、上流から導水路を伸ばして水車の羽根に水を落下させて回す木製の上掛け水車。

 小水力発電を意識した発電用水車で、その電気でイラストパネルにはめ込んだLEDを点灯させる。

 水車発電の予定日の府立宇治公園はお茶の京都博に呼応した「宇治茶博@文化」イベントの会場となり、宇治田楽も午後2時半から開く予定で舞台効果も満点。本番が楽しみだ。

 平安時代以降、宇治川流域には農作用の水車が数多く作られ、江戸時代の絵画で「柳、橋、水車」がセットで描かれていれば、その風景は宇治を指すとまで言われたという。

 もとより宇治は宇治川の水力を利用した宇治川電気が1906年(明治39年)から42年(昭和17年)まで京都・大阪に電気を送る国内有数の電力会社があった関西の水力発電のメッカ。

 水路に恵まれ、水車谷とも呼ばれた菟道地区は胡粉(ごふん)づくりに適し、江戸時代から胡粉工場もあり、茶づくりにも貴重な再生エネルギーを提供してきた歴史的背景がある。

 水車復活のイベントに、エコット宇治の面々は「宇治の自然エネルギーを使って地球温暖化を少しでも食い止めたい」と張り切っている。